2010年8月30日月曜日

この作品と出会えたことはこの上ない僥倖であった

 まずはご自身が慢性疲労症候群(以下CFS)でありながら、否だからこそ、この長編ドキュメンタリーを作り上げたキム・スナイダー監督、日本語字幕作成に尽力された同じくCFSの篠原三恵子様、協力者の有原誠治様に深い敬意を表します。

 さて、映画ですが、CFSを患っている自分自身にとってもかなりショッキングな内容でした。日本では当然のこと、アメリカ合衆国でも当初おざなりな調査しかされずマスヒステリアや詐病、精神疾患、多発性硬化症等々と誤解されていた事には驚きを禁じ得ませんでした。医師と言う職業柄、CDCやFDAといった組織の、日本よりはるかに優れた疾患に対する迅速的確な対応を信じておりましたので余計にショックが大きかったのかもしれません。

 個々のCFSの方たちの思いにも当然ながら深く共感するところが多々ありました。特に殆どの方が当初「Flu」だと信じて疑わなかった事も私自身の経験と重なるものでその都度首肯しておりました。また自殺した女性の「生きたい、健康になりたい、けれど今の自分は死ぬしか道はない」という肉声には心が震えました。ミシェル・エイカーズの「自殺したいと思った事はなかった。でも死ぬしかないのかなとは思っていた。」という言葉も自身の思いと重なり、胸が痛みました。

 そして何より、このままでは納得できない、何が何でも原因を特定してみせる、というキム・スナイダーさんの強い意思に圧倒されました。私自身この3年間なったものは仕方ない、もうなるようにしかならないしCFSの患者が連帯する力を持っているわけも無い、と思い続けてきました。そして今回ちょっとしたきっかけでこの病気と向かい合えるだけ向かい合ってみようと思った時にこのDVDと出会えたことはこの上ない僥倖であったと思います。本当にありがとうございました。

 ところで、この映画の題名「I Remember Me」の意味するところはなんなのでしょうか?おそらく発症当時の事を鮮明に覚えている、ということなのでしょう。ただ自身の今の悩みが

「全く健康だった頃の自分自身を思い出せない」

という点なので、この題名については少し複雑な思いを抱きました。

 そして敢えてこのフィルムの瑕疵をあげるとすれば(これは私の映画マニアの「さが」だと笑い飛ばしていただいて結構ですが)

1: 構成が複雑かつランダムなところがあり、一般の人にCFSを理解させると言う点では合格点をつけられない
2: viral infection説を強調し過ぎているきらいがあり、伝染する病気と言う偏見を持たれかねない
3: (私自身が医療者側にいる人間なので)当初は分けの分からなかった病気を扱わされる側の苦労もよく分かるので、無理解な医師を一方的に責めるのも酷である

といったところです。

 最後になりますが、CFSから回復したキース・ジャレットのインタビューが無いのが寂しいと思っていましたが、エンドロールで彼に対する謝辞が述べられているのを見て、彼のこの映画に対する支援を本当に嬉しく思いました。また、彼とクラシック界の鬼才ギドン・クレーメルが共演した現代音楽家アルヴォ・ペルトの作品「Fratres」が映画中で使用されている事にも深い感銘を受けました。これは私の愛聴盤「Tabula Rasa」(ECM)に収録されており、今朝はこれを聴きながら感想を書いています。

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 なお、キース・ジャレットはCFSから復活しての二作「Melody at night, with you」「Jasmine」(いずれもECM)で、全世界のCFS患者を励ましていると感じています。そのあたりの感想は下記ブログに書いた事があります。ご笑覧ください。

http://bit.ly/bjhaIZ

 最後に9月2日の会の成功を祈念しております。またの機会があれば是非とも参加させていただきたいと思います。

平成22年8月29日  ゆうけい 拝

2010年8月16日月曜日

希望を失わない人間の強さに・・・


  こういった映画を見たのは初めてでした。
病気そのものの苦しみはもちろんですが、不明、無理解の辛さがいかに酷いものか知らされました。
そういった中でも希望を失わない人間の強さに感動しました。

CFSについて
全然知らなかったのでびっくりしました。
自分も、あるいは身近な人もある日突然かかることがあるかも知れないとすれば、決して軽視すべき病気ではないと思います。

篠原さんの穏やかでいて、力強いお話にかえって励まされました。
ありがとうございました。
(女性 57歳  三鷹「はちの子保育園」での鑑賞にて)

2010年7月28日水曜日

当事者ではない方に観ていただきたい

                                                                                                    よもぎ
 昨日、DVDを拝受し、さっそく鑑賞させていただきました。

高度な演出、映像技術、そして丹念な積み重ね……感嘆致しました。
当事者の方たちの、前向きの勇気(無闇に要求されるポジティブ性を遙かに超える明るさ)も感じられますね。
その一方で、キム・スナイダー監督と篠原三恵子さんの絶えざる勇気と、その後の侵襲の重さにも思い至らずにはいられませんでした。
有原さんのご助力の重大さもよく判ります。

個人的には、これまでの人生の塊が一気に崩れ、瓦礫となって音を立てて降りかかってくるような思いで……この思いを分かち合える人は誰一人いないということを痛烈に思い知らされ、受容したつもりだったすべてを、本当には受容などできていないと……しばし茫然としておりました。

現在も、食事と入浴(シャワーでも)は非常に覚悟の必要な行為で、できればせずに済ませたいことです。(実際に就床70%くらいなので、入浴は可能な限りパスしています)
とはいえ、スティーヴン君のような手厚い看護を受けたいかというと、それも否というほかはないです。

頭、耳、目、声だけの作業に集中できれば……と、思わなかったわけではありません。
2005~2007年の2年間はほとんどそういう状態だったので(胃瘻や中心栄養点滴までは必要としませんでしたが)その当時を懐かしむ気持ちは、まったくないとは言えません。

動ける時間ができて、動いていさえすれば周囲が安心する……そのためにできなくなったことも、また数多くあります。共存することが、非常に微妙で難しい病態です。

どれほど多くの人が今も尚、よりよく生きたいと強く願いつつ、同時に死なせてほしいと願っていることでしょう。

できるだけ多くの、当事者ではない方に観ていただきたい映画ですし、さらなる究明を深めていただきたいと同時に、やはり「生きる道」を作ることが可能な援助を確立して欲しいと強く願います。(埼玉 よもぎ)

2010年7月21日水曜日

インパクトが強い

 CFSの実態が、罹患されている人を映すことで良く理解できました。
一般の人にはなかなか理解されない病気ですので「I remember me」のようなドキュメンタリーは訴えるインパクトが強いと思いました。
  今回で、終わりにせず、何度も上演(映)したらいいなと思いました。 CFSについては、はじめてしりました。

想像を超える辛さと思う

 病気の症状自体だけでも、人の話が理解できなくなる。歩けない。寝たきりになるなど、大きな苦しみだと思います。それに加えて、理解されず、偏見をもたれるというのは、想像を超える辛いことだと思います。病気の原因、治療法が解明されるのはもちろんですが、社会的に理解されることを切に望みます。

 CFSについては初めて知りました。
耳にしたこともありませんでした。非常に大きな病気にも関わらず、社会的に認知されていないことに、衝撃を受けました。(女性 26歳)

ドキュメンタリーとして力作

 引き込まれました。
日本版も(ドキュメンタリー)つくれるといいなと思った。
 CFSについて
 聞いたことはあった。難病指定されるべくき病気だと思った。                                                                                    (女性 39歳)

2010年7月7日水曜日

はじめて知りました。

 病名から想像して、ハードワークやうつ病的(私自身もまだ治療中)なものかと思っていました。(ちがっていました)
 患者自身の活動が大変困難な状況と知り、私たちが広く知らせる必要があると思いました。(YU)

2010年6月9日水曜日

『アイ リメンバー ミー』を、先ほどようやく見ることができました。

  とてもレベルの高い作品に驚きでした。
共鳴する部分がとても多くて、冷静に見るのが困難なほどに感動でした。

 うちの娘はCFSと診断されるまでのドクターショッピングに何年もかかり、
CFSと診断後の療養生活10年目の今も病状の改善はほとんどありません。
一番楽しいはずの青春時代もなく、現在も人並みの社会生活がないままなのです。

私がいつも思うのは このCFSという過酷な病気の人生、代わってやれるもなら、私が代わってやりたいと、常に その思いです。

 主治医に最初に言われたのは 「あせらないで」でした。
もう少し希望を持ちたいと思います。

  皆様のご尽力おかげでこれまで知らなかった情報に接する事ができたり、このような素晴らしいDVDを見ることができて感謝です。

ほんとうにありがとうございました。
CFS患者の母「K」                           

2010年5月23日日曜日

いわゆる「慢性疲労症候群」についての集いに参加して

                                                                          相川 充弘

 アニメーションミュージアムの会の有原誠治さんに誘われて、一時の好奇心から、ある集まりに参加した。10年4月6日、pm1、参議院会館。そこで見聞きしたことは、かなり衝撃的なものだった。

 初めに、篠原三恵子さんから挨拶があった。寝台ベッド(寝たままで移動できる車椅子)に横たわる彼女は、20年前にアメリカでこの病魔に冒され、カナダ・日本と診断を受け続けたが原因も治療法も発見されないまま今日を迎えておられる方。現段階では、病名さえもよく知られていない状況で難病指定にもならず、行政サービスも十分に受けられない厳しい生活を強いられている。参加者の中には、車椅子の人、歩行は出来るが時々横にならないと耐えられない人、一見普通の人など患者さんが多かったようだがその大半は女性。当日配られた資料から、読みとれる範囲でいわゆる「慢性疲労症候群」なるもの解説をしてみよう。 (以下はこちらの頁で

2010年4月23日金曜日

2010.4.6 国会内鑑賞と考えるつどいの感想

誤解をもたらす名前 
 最初、この病気の慢性疲労症候群という名前を見たとき、やはり、ちょっと軽症を想像させてしまうような誤解しかねない名前では、と思いました。映画を見る前の先入観と、見た後の認識に、ずいぶん差がありました。

 また、市民の中に入り、上映を通じて様々な問題を訴えていくというのは、映像文化にかかわる人にとって、重要な仕事だと感じました。昔、独立プロの、伊藤武郎氏が、映写機を持って、学校や農村などを回った話をしていたのを思い出しました。
 
 小池さんについては、この間も、わざわざ西東京に演説会を聞きに行ったりツイッターを毎日見たりしているのですが、あの人独特の人柄というか、堅苦しくない、フットワークの軽さをいつも感じます。 (H氏)

2010年4月17日土曜日

2010.1.27 四谷 メルキセデクの会試写会の感想

他の感想は、こちらのページから

2009.9.20  清瀬市での試写会の感想

 「アイリメンバーミー」の、日本で最初の試写会です。
 翻訳者でCFSの患者である篠原三恵子さんと、字幕制作を担当した有原誠治さんのご近所といううことで、清瀬駅前のアミューで開催しました。参加者は90余命、遠く山口県や岩手県からも患者の方々が駆けつけて下さいました。

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